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生誕150年 板谷波山ー時空を超えた新たなる陶芸の世界ー

板谷波山

出光美術館に行って来ました。

板谷波山のことは前から気になっていた陶芸家で一度実物を見てみたいと思っていました。

今年は生誕150年ということもあり、波山の生まれ故郷の茨城にある板谷波山記念館でも回顧展を開催していましたが、思うように時間が取れず、見過ごしてしまっていました。

そんな矢先に出光美術館で展覧会があると知り、早速足を運ぶことに・・。

上野不忍池 蓮の群生

出光美術館は日比谷の帝国劇場のすぐ側にありますが、朝方、ちょっと早起きして、今(2022.7)が見頃を迎えている上野不忍池の蓮を見に行く事に・・・。

ビルの中に囲まれながらも、そこには、それは見事な蓮の群生が広がっていました。多くのカメラを持った人たちが丹念に写真撮影をしています。私も負けじと携帯のカメラを振りかざし、記念のショット。雨上がりだったためか空が美しく、思いの外美しい写真が撮れました。我ながら満足の一枚。

いっぷく 甘味処みはしへ

池を一周する頃には、暑さでじんわり汗臭い自分に気づき、これでは、美術館で臭くてヤバめな人になってしまうと、引っ張られるように池を離れ近くの甘味屋さんへ。

まだ午前中なのに、中々の混雑ぶりです。きっと私と同じように、蓮を眺めては歩き疲れ、涼を求めてお店に引っ張られた方々に違いない。たくさんのメニューに迷いつつも、冷やしぜんざいを注文することに・・

あー、幸せ・・疲れたあとは、やっぱり甘い物。中でもやっぱり餡子!つぶ餡派の私ですが、ちょっとざらっとした食感のこし餡ぜんざいが、ソフトクリームの滑らかさと相まって、うっ、うんまい、うまい!火照った体が落ち着きを取り戻し、疲れがジンワリ和らいでいきます。

パワーがチャージ出来たところで、本命の出光美術館へ。

出光美術館

山手線の有楽町駅で降り、徒歩5分。帝国劇場を目指すと、すぐ隣が出光美術館です。帝劇ビルの9Fで、1Fにはスタッフさんが、しっかり検温と除菌でコロナ対策。すっかり慣れた予約制。予約のバーコードを見せて9Fへ。お手洗いでしっかりと手を洗い身を清め、神社の鳥居を潜る清らかな気持ちでいざ展示場へ

板谷波山は茨城県出身の明治から昭和にかけて活躍した陶芸家で、陶芸家として初めて文化勲章を受賞しています。陶芸を職人ではなく、芸術家としての地位に押し上げた存在の一人と言われています。

展示場に入るとまず初めに飛び込んで来た作品は、板谷波山初期の作品、どちらかと言うと水彩画のような美しさのあるボタンの花がが描かれた壺が出迎えてくれました。生成りに濃淡をつけたような地肌の陶器で、経験や技術では測れない美しさがあります。

そして、波山の代名詞である 葆光彩磁の作品が展示場中央に飾られています。

これが見たかったんだよなー。どうしてベールを纏ったような器の仕上がりなんだろうと…すごく女性的な美しさだよなと、来る前には思っていました。

が、そうでは無く・・

葆光彩磁の作品にかかわらず、青磁・白磁と多様な作品を残しているのですが、どれもすごくしっかりと、きちんと、整理整頓された美しさ。なにがと言われると困ってしまうのであるが、荒さや雑さが微塵も無く、雄々しくも、女々しくもなく、綺麗に品良くしっかりとそこに佇んでいる。理想の陶器作りに妥協を許さなかった波山のその姿勢が、私にそんな印象を抱かせるのでしょうか。

しかし・・・展示会をみながら、猛烈な睡魔に襲われてしまった私。

ちょっとソファに寄りかかるだけのつもりが、完全に爆睡してしまったのでした。マスクをしていたので、口を開けて寝ているマヌケ面はさらさずに済んだ?けれど・・・

無理な早起きが効いちゃったかな…

美術館を見終えて

焼きあがるまで、仕上がりの出来がわからない陶磁器は、作家の意匠を超えたものに仕上がったり、思うようにならなかったりと、ドキドキハラハラ。実際、出来上がった作品を納得できず割って壊してしまう波山に対し、その品を残念に思った出光佐三(出光興産の創始者)が、お嫁入りを希望し貰い受けたエピソードが紹介されておりました。両者、どちらの気持ちもわかりますよね!その時その時、まさに一期一会の芸術です。

ちょこっと豆知識

葆光彩磁(ほこうさいじ)とは・・

透明の釉薬の代わりに、薄絹を透かして見るような失透性の釉をかけたもの。波山陶芸の代表的な作風の一つです。釉薬の違いでこんなにもさまざまな表情を器にもたらすのだと改めて感じました。

基本情報

出光美術館 http://idemitsu-museum.or.jp

板谷波山記念館 https://www.itayahazan.jp